私の○○ベスト3Vol.94 白木 凛 私の好きな小説の登場人物ベスト3

コラム

2026.08.11

第1位 ぜん百合子ゆりこ(『夏物語』川上未映子さん作)

第2位 かんこ(『くるまの娘』宇佐見りんさん作)

第3位 村山さとしさん(『聖の青春』大崎善生さん作)


 新人小説家が〇〇ベスト3と言われて好きな小説の登場人物、ましてや日本の超有名な現代小説からとは、なんというか「もう少し外せよ!」感が否めないのは重々承知しているが、それでも好きなものは好きなので真正面から理由を述べたい。
 (以下は私の超個人的感想であり、もちろん作品や人物とは何の関係もありません)

第3位 村山聖さん(『聖の青春』大崎善生さん作)
 3位だけ実在の人物である。長年重い持病を患いながら羽生善治さんとも肩を並べた天才将棋棋士で、病苦に耐え這ってでも対局へ向かい続けたその情熱に感服しつつ、私は彼が残した以下の言葉を座右の銘にしている。
 「人間は悲しみ、苦しむために生まれた。それが人間の宿命であり、幸せだ。僕は、死んでも、もう一度人間に生まれたい。」
 不幸でも生きていてよい、といつも背中を押してもらえる。

第2位 かんこ(『くるまの娘』宇佐見りんさん作)
 家族をめぐる物語で、彼らに対する娘のかんこの心理描写に「自立」と「依存」という言葉が出てくる。胸を抉られるような彼女のその言葉たちは、長年の問いを私に思い起こさせる。社会では「自他の境界線を引け」とよく言うが、その線によりあぶれた命は誰が救うのだろう? もしそれが物語の役割なら、そんな物語を、その線というより狭間にいるたくさんの人や関係を、私は一生かけて描きつづけたい。のでお仕事お待ちしています(急な自己アピール)。

第1位 善百合子(『夏物語』川上未映子さん作)
 彼女だけ主人公ではなく、また彼女と私の生い立ちはまったくちがう。でも彼女の話を聞いて、「なぜ私の善良な両親は私を産んだのか?」という幼い頃からの問いを持っていてもよいのだと思えた。フィクションの人物にもかかわらず、私は彼女が今頃元気に暮らしているだろうかと時々思うし、夜は暖かな布団で眠れているとよいと思うし、一年すべてが彼女の好きな季節になればよいと思っている。

 真面目なことばかり書いてしまった。元来私はお笑いやゲーム配信を観ながら他のゲームをしている廃人なのである。もしこのリレーの二周目が回ってくれば(ないだろうが)、スイカゲームしながら観る和装芸人バイオハザード実況ベスト3等を書いてみたい。


白木 凛(しろき・りん)

1989年大阪府生まれ。京都大学文学部卒業。趣味は読書、編み物、お笑い鑑賞・美術館巡り、(たまに)一人旅とカメラ。2026年、「曇る母へ」で第25回「女による女のためのR-18文学賞」友近賞を受賞。