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私の○○ベスト3
Vol.26 オギリマサホ 私の印象に残っている珍しい名字の野球選手ベスト3

1位 北別府 きたべっぷ まなぶ

2位 源五郎丸 げんごろうまる ひろし

3位 南牟礼 みなみむれ 豊藏とよぞう



私の名字は珍しい。珍しい名字は何かと苦労する。まず正しく読んでもらえない。電話口で聞き取ってももらえない。聞き取ってもらえても漢字の説明に苦労する。苦労して説明したにもかかわらず、とんでもない漢字に変換された宛名で手紙が来る。出先でハンコを忘れたとしても三文判など売っていようはずもない。

このような経験から、プロ野球を見る時にもつい珍しい名字の選手が気になってしまう。印象深い選手を挙げる。


●第三位 南牟礼 豊藏(阪急・オリックス《1982~1991年》、中日《1991~1993年》、阪神《1994~1995年》)

「南牟礼」だけでも重厚な名字なのに、名前が「豊蔵」である。毛筆書きが似合いそうな威圧感がある。現在は接骨院を経営している南牟礼だが、その名が「みなみむれ接骨院」であるのを見ると、「読んでもらえないからひらがな表記にする」という珍しい名字の人特有のサービス精神が現れているように思う。


●第二位 源五郎丸 洋(阪神《1982~1986年》)

1982年、ドラフト1位で阪神に入団した源五郎丸は、ケガに泣かされ一軍出場のないまま86年に引退した。当時小学生だった私には源五郎丸の現役時代の記憶はなく、「ユニフォームの背中に名前、入ったのかな…」ということだけが気がかりだった(実際は“GENGOROUMARU”の12文字は背中に収まり、後には“SHIMOSHIKIRYO”と13文字の下敷領悠太《元ロッテ》も登場した)。なぜ二位に挙げたかというと、高校時代、阪神ファンの日本史の先生の気を引こうと、テスト用紙の片隅に「源五郎丸選手は今何をしているのでしょうか」と落書きをしたことがあるからである。そのテスト用紙には「スポーツ用品店をやっているようです」と先生の回答が書き込まれ返却された。

●第一位 北別府 学(広島《1976~1994年》)

抜群のコントロールを誇り、広島のエースとして活躍した北別府。安仁屋宗八(あにや・そうはち)や外木場義郎(そとこば・よしろう)、佐々岡真司(ささおか・しんじ)などとともに「広島の三文字名字の投手は活躍する」と言われるゆえんである。北別府という名字は彼によって全国に知れわたったと言っても良いだろう。そう、珍しい名字の人間にとって何よりありがたいのは、同姓の有名人がいることなのだ。「あの〇〇さんと一緒」と言えば全てが解決する。だから今プロ野球で頑張っている珍しい名字の選手には、同姓の人々のためにもぜひ頑張ってもらいたいところである。



おぎりま・さほ
1976 年、東京都出身。イラストレーターとしてシュールな人物画を中心に雑誌や書籍などで活躍する一方、社会科教師として教壇に立つ。中学1 年までは巨人ファンだったが、中2の時に大野、川口、北別府を擁する投手王国のカープに魅せられ広島ファンに転向。「文春オンライン」の野球コラムにて、2018 年より広島カープ担当として独自の視点で原稿とイラストを発表し、多くの支持を受ける。同コラムに書き下ろし分を加えた、カープ愛溢れる考察本『斜め下からカープ論』(文春文庫)を2019 年7月に上梓した。

HP:http://ogirima-saho.com/