私の○○ベスト3
Vol.27 悠木シュン あの頃に戻りたいベスト3
1位 中二(成績もよく学級委員をやっていた優等生時代)
2位 高三(赤点補習だらけのコギャル時代)
3位 二十歳(合コンとバイトに明け暮れた短大時代)
なぜ私は今ここに立っているのか? もっと別の人生があったんじゃないだろうかと後悔することがしばしばあります。じゃあ、どこに戻ればベストな人生を送れたのか真剣に考えてみました。そして、あの頃の私に助言してみたいと思います。
【第一位】中二(成績もよく学級委員をやっていた優等生時代)
なぜ君は、急に勉強をやめてしまったんだい? 小学生の頃は、誰よりも目立つことを好み、勉強だって運動だって頑張っていたじゃないか。それなのにどうして? 勉強をする意味がわからないだと? 意味なんてどうでもいいんだよ。やりなさい。よく大人が言うだろ。いい大学に入りなさいって。あれは、経験に基づくありがたいお言葉なんだよ。学歴なんて関係ない、なんて嘘だ。学歴は大事だ。なくても死にはしないけど、あって困ることは絶対にない。可能性、選択肢を増やせ。
いつか君が生きた爪痕を残したいともがき苦しんだあと、小説家なんていう職業についたとき、今の君の学力が物を言うんだ。とにかく勉強しろ。そして、地元の進学校に行くんだ。制服が可愛い私立の女子高なんかに行ってはダメだ。君は、流されやすいんだから。
【第二位】高三(赤点補習だらけのコギャル時代)
ほらね、あれだけ勉強しろと言ったのに。ちゃらちゃら遊び惚けているからこんな成績で、行ける大学なんてどこもないじゃないか。君は、安室ちゃんにもなれないし、アユにもなれない。とりあえず、東京のデザイン専門学校に行くだと? 君の両親がそんなの許すわけがないだろ。上京の最低条件は、四年制大学に入学できるかどうかだ。今すぐルーズソックスを脱いで勉強しろ。
【第三位】二十歳(合コンとバイトに明け暮れた短大時代)
これがラストチャンスだ。結局、君は努力をしなかった。だから、上京することも許されず、福岡までしか出してもらえなかった。しかも、美術系の無名の短大なんてどこにも就職できないだろう。現に君はどこからも内定がもらえず、卒業と同時に実家に強制送還される。そして、後悔だらけの人生を送ることになる。いつまで経っても理想の人生には追い付けない。それが嫌なら、今死ぬ気で動け。努力しろ。君の人生を変えるラストチャンスだ。これを逃したら、次はないと思え。
タイムマシーンに乗ることができたら、私は過去に戻ってこのしょうもない助言を自分にするでしょう。できることなら、今の人生で良かったと思えるようになりたい。「一発逆転」これが今の私のモットーです。
ゆうき・しゅん
1980年生まれ。広告代理店、デザイン事務所、印刷会社勤務を経て2013年「スマートクロニクル」で第35回小説推理新人賞を受賞。14年『スマドロ』でデビュー。その他の作品に『トライアンフ』『花葬』『背中、押してやろうか?』『君の××を消してあげるよ』がある。