私の○○ベスト3
Vol.29 寺地はるな わたしの家事サボり事例ベスト3
1位「あ、眼鏡はずせば?」
2位「ねえ、パーティーしようよ」
3位「そうだ、競争しようよ」
家事は好きですか? わたしはもちろん大嫌いです。どうやったら手抜きができるかを毎日平均二時間ぐらい考えてます。手抜きのためならどんな手間も惜しまないみたいなとこがあります。
でもあまりにもストレートな手抜きは家族(寺地家の場合は夫と息子)に「お母さん、もしかして家事嫌いなんじゃない?」なんて思わせてしまいますよね。思われてもいいけど(だってほんとのことだし)、どうせならもっともりあがっていこうぜということで、わたしが今まで自然なノリで家事をサボった事例のベスト3を紹介したいと思います。
●第3位「そうだ、競争しようよ」
掃除を家族に手伝ってほしい場合に使います。床にちらばったゴミを素早くゴミ箱にいれる競争とか、雑巾を足にくくりつけて廊下をスピードスケートのようにすべるとか。
ポイントは優勝者にすてきな賞品を用意しておくこと。なんでもいいんですけど個人的にはうまい棒がいいと思います。安いしおいしいから。ぜんぜん関係ないけどわたしは最近やさいサラダ味が好きです。
●第2位「ねえ、パーティーしようよ」
料理が面倒な時は、インスタントのお味噌汁を何種類も買ってずらーっと食卓に並べたらそれだけでもうお味噌汁パーティーのはじまりです。豪華な食材とかいらない。ふりかけ十種類でもいい。手抜きのためのパーティーなのでインスタ映えとか気にしない。
「お味噌汁、どれでも好きなの選んでいいよ」と言うとだいたい大喜びで選んでくれます。ごはんだけ炊いてレトルトカレー十種類でもいいですね。自分で数種類のカレーをつくるとかはやっちゃダメです。ダメ絶対。だってそんなの手抜きじゃないもん。
●第1位「あ、眼鏡はずせば?」
フローリングは落ちた髪の毛やほこりが目立ちますよね。めちゃくちゃ気になります。夫も同様らしく、よく「そろそろ掃除機かけたほうが良くない?」などと余計なことを言い出すのでそんな時にこう言い返すことにしています。うちは家族全員近視なので、見えなければ、ほこりなんて存在しないも同様です。ここで気をつけるのはぜったいに喧嘩腰にならないということ。明るくさらっと言い放つのが大事です。
「今日はおかず少ないね」と指摘された際にも「あ、眼鏡はずせば?」「洗濯物たまってない?」「あ、眼鏡はずせば?」と万能です。これおすすめ。ほんとおすすめです。近眼ではない人については知りません。
てらち・はるな
1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』でポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。ほかの著作に『ミナトホテルの裏庭には』『月のぶどう』『今日のハチミツ、あしたの私』『みちづれはいても、ひとり』『架空の犬と嘘をつく猫』『大人は泣かないと思っていた』『正しい愛と理想の息子』『夜が暗いとは限らない』がある。最新刊は『わたしの良い子』。