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私の○○ベスト3
Vol.34 泉ゆたか 私の好きなミュージカル作品ベスト3

第1位 エリザベート

第2位 霧深きエルベのほとり

第3位 ロッキー・ホラー・ショー



観劇、特にミュージカル鑑賞が好きです。作品を観ている瞬間はもちろんのこと。友人と予定を合わせてその日を心待ちにする期間や、終演後に美味しいものを食べながら感想を語り合う時など。観劇に伴うすべてのことに心が躍ります。
 小説家としてデビューしてから三年目、私の人生は激動の日々が続いています。
 悩んだり疲れたり気弱になったり。時にはそんなこともありますが、次の観劇の予定を想うとぐんぐん希望が湧いて、頑張ろう! と思えます。
 そんな私の日々の支え、好きなミュージカル作品ベスト3をご紹介します。


<第3位 ロッキー・ホラー・ショー>

 古城の主であるドラァグクイーン、フランクが、道に迷って訪れたカップルを異世界に誘います。
 強烈なキャラクターが次々と現れては嵐のように歌い踊り、あっさり去っていきます。奇妙な後味を残すなんだかよくわからない作品なのですが、なんだかよくわからないなあと思いながら、いつの間にかがしりと心を摑まれています。
 フランクの「私、機嫌がいいときはとても気前がいいの」という台詞が大好きです。



<第2位 霧深きエルベのほとり>

 宝塚歌劇団のオリジナル脚本作品。荒くれものの水夫カールと、深窓のお嬢さまマルギットの悲しい恋の物語です。
 一見遊び人だけれど本当はピュアで一途、という、まさに宝塚の男役スターが演じるために存在するようなカール。うんうん素敵だなあ、と、とても楽しく観ていたら、後半でまさかのあり得ないくらい泣かされました。
 登場人物のキャラクター、物語、台詞、音楽、どれを取っても素晴らしすぎる、宝塚歌劇団の演目の中で一番好きな作品です。



<第1位 エリザベート>

 実在のオーストリア皇后エリザベートが、非業の死を遂げるまでの物語です。
 死神の化身、黄泉の帝王トート閣下に見初められたエリザベートは、死の影に怯え、時に立ち向かいながら生涯を過ごします。
 運命に翻弄される悲劇の美女の物語と思いきや。女性が人生で直面する苦悩をひとつひとつ丁寧に描いた、とんでもない一代記でした。
 我儘で自由で可愛くて、自分の選択の報いをすべて受けることになるエリザベート。
 私が小説内で女性を描こうとするとき、いつも彼女の存在が胸を過ります。
 大事な人たちと「ままならない」人生を共感しあって、明日も頑張ろうと思える作品です。




いずみ・ゆたか
1982年神奈川県逗子市生まれ。早稲田大学卒、同大学院修士課程修了。2016年に『お師匠さま、整いました!』で第11回小説現代長編新人賞を受賞してデビュー。『髪結百花』が第1回日本歴史時代作家協会賞を受賞。ほかに『お江戸けもの医 毛玉堂』がある。