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私の○○ベスト3
Vol.55  安壇美緒 私の魂のチェーン店ベスト3


第1位 サイゼリヤ
第2位 スシロー
第3位 ベローチェ



行く店は大体チェーン店である。現在のライフステージのせいもあるだろうが、元々お互いに顔見知りになるような個人店が得意なタイプではないので、普段使いをするに当たってはそこそこ客の出入りがあるようなファミレス・カフェのほうが落ち着ける。本当のところは、〇〇というチェーン店が好き、なのではなく、〇〇の××店が好き、というこだわりがあるのだが、こんな世の中なので念のため行動範囲は伏せておく。ちなみに、「安壇美緒はチェーン店が好きなんだなあ」というお気遣いから、今後の打ち合わせ等々が上記のチェーン店縛りになってもやや悲しいので、一緒にお仕事をされる方々におかれましては私が知らないようないい感じのお店に連れて行っていただけると大変うれしいです。


第3位 ベローチェ

かつてブレンドが170円だったベローチェがここでランクイン(現在は250円です)。まさに物書きにとって魂のカフェである。モーニングも安いので、朝ごはんを食べてきたのにうっかり二度食いすることもしばしばだ。電源あり、Wi-Fiあり、お腹に溜まるフードあり。行きつけの店舗の近くに駐輪場があるというのも大きい。東京は街中にチャリを停めていると勝手に行政に撤去されてしまうという魔の土地である。上京直後にチャリ撤去を食らった衝撃を私はいまだに忘れていない。10代なのに中野区に5000円払った。


第2位 スシロー

今年の春にデビューを果たしたスシローが堂々の2位。ハマっている間に2回も広告不正事件が発覚したので、そこら辺はどうにかして貰いたいものだ。ワサビが食べられないのでちゃんとしたお寿司屋さんがちょっと怖い(怒られそうだから)者にとって、回転寿司ほど気楽な寿司エンカウントプレイスはない。鮭が好きなのでサーモン系統を中心に攻めることが多く、中でも炙りサーモンバジルチーズは鉄板である。食べ切りやすいサイズのパフェがあるのもありがたい。練乳いちごパフェはよく出来てるな〜と毎回感心する。


第1位 サイゼリヤ

何故かインターネットでああだこうだと言われがちなお店だが、子連れにとって神のようなファミレスであるため、1位の座は迷いなくサイゼリヤに捧げる。神のようなファミレス、というか実際に店内に神とか天使がいる(絵画で)。疲労でそろそろ死んでしまう、というタイミングで夜に駆け込むことがほとんどなので、まあ恩義の度合いが違う。救い主、サイゼリヤ。推しメニューは若鶏のディアボラ風とバッファローモッツァレラのピザで、ペコリーノ・ロマーノをトッピングさせるとなお良い。ちなみに行きつけの店舗には焼きが上手いスタッフがいるらしく、その人に当たると鶏の皮やピザの生地が本当にパリパリで出てくるので「今日はいい日だな……」となったりする。なお、有名な『キッズメニューの間違い探し』は本当に難しいので、大人にこそマインドフルネス目的でぜひ挑戦してもらいたい。




あだん・みお
1986年北海道生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。2017年、『天龍院亜希子の日記』で第30回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。20年、北海道の中高一貫の女子校を舞台にした青春長編『金木犀とメテオラ』を刊行、書店員からの熱い支持を受けロングセラーに。22年5月に刊行された、音楽教室に潜入した「スパイ」を描いた物語『ラブカは静かに弓を持つ』が発売直後から版を重ね、大きな話題を集めている。