私の○○ベスト3
Vol.72 杉井 光 僕の「用途が狭すぎるけれど買って後悔しなかった調理器具」ベスト3
1位:プレス式ポテトマッシャー
2位:食品用脱水シート
3位:ピザストーン
用途が狭すぎる調理器具を意気込んで買い、二、三回使って飽きて物置行き、というのは料理好きにはよくある「悔談」かと思いますが(かく言う我が家の天袋にもパスタマシンやジンギスカン鍋が死蔵されています)、逆に「用途が狭すぎるけれど買って後悔しなかった」という話はあまり聞きませんので、今回あえてそちらを書きます。
3位:ピザストーン
オーブンでピザを焼く時に下に敷く石の薄板です。下からの熱の通りがよくなり、生地の裏側に、専門店のピザでよく見られる局所的な黒い焦げがつくようになって風味が段違いになります。自分で生地をこねるところからピザを作る時にしか使わないのですが(出来合いのピザに使ってもいまいちなのです)、効果が尋常ではないので使いまくっています。当然ながら肥ります。
2位:食品用脱水シート
ピチットという商品名で売られています。食品を包んでおくと水分を吸ってくれる、分厚いラップみたいなシートです。普通の食生活をしているとまず使いどころがないのですが、ソテーや燻製などの下準備に使うと味が引き締まりますし、日本の家庭でパンチェッタが作れてしまうのも高ポイントです。脂の多い肉や魚と特に相性が良く、もちろん肥ります。
1位:プレス式ポテトマッシャー
容器部にゆでたジャガイモを入れてグリップを握るとテコの原理で軽々とマッシュできるタイプのマッシャーです。僕が使っているのはEPPICOTISPAIというイタリアのメーカーのものです。揚げニョッキとシェパーズパイを作る時にしか使わないのですが、なめらかなマッシュによってこの二つの料理の味が格段に上昇するため使い倒しています。大量のジャガイモをハイスピードでマッシュできて味も軽くなり食べやすくなるので、どうしようもなく肥ります。
杉井 光(すぎい・ひかる)
1978年、東京都生まれ。電撃小説大賞の銀賞を受賞し、2006年、電撃文庫『火目の巫女』でデビュー。その後電撃文庫「神様のメモ帳」シリーズがコミカライズ、アニメ化。ほかの著書に「楽園ノイズ」シリーズ(電撃文庫)、『世界でいちばん透きとおった物語』(新潮文庫)などがある。