私の○○ベスト3
Vol.88 佐原ひかり 私の「おすすめしたいミッフィーエピソード」ベスト3
1位 ミッフィー、提案する
2位 ミッフィー、死を知る
3位 ミッフィー、万引きをする
母は私の家を「ウサギ小屋」と呼ぶ。ミッフィーグッズにあふれているからだ。私はこの呼称を気に入っている。ワンルームを見回せば、どこにでもミッフィーがいて、あのもきゅっとしたプリティーな鼻口と、絶妙にきょとんとしたおめめで私を見守ってくれる。世界一キュートでハッピーなウサギ小屋だ。
その中でも一等地、常に目に入るところに置いているのは、ミッフィーの絵本だ。福音館書店の「うさこちゃんの絵本」というシリーズを、私は折に触れて読み返す。大事にしたいことがすべて書かれているからだ。
今回は、私がミッフィー初見勢におすすめしたいエピソードを、ランキング形式で紹介する。
3位 ミッフィー、万引きをする(「うさこちゃんときゃらめる」)
お母さんと買いものにいったミッフィーは、キャラメルを万引きしてしまう。後悔と罪悪感に苛まれたミッフィーは、翌朝お母さんに罪を告白するが……という話で、かなりショッキングな回だ。人は常に明るく正しいことだけ行えるものではない。時には、後ろ暗い感情を抱き、あやまちを犯してしまうこともある。大切なのは、そこからどうするかだ。この話を読めば、ミッフィーという絵本が持つ奥行きを味わえるのではないかと思う。
2位 ミッフィー、死を知る(「うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん」)
ミッフィーのおばあちゃんが亡くなる回。初めて見るおじいちゃんの涙、ひつぎに横たわったおばあちゃんの姿……と、ミッフィーが初めて目の当たりにする「死」が、やさしさと慈しみに満ちた言葉で紡がれている(訳文が本当に美しいので読んでほしい)。今までミッフィーの暮らしの中に出てきた人物が、自然と亡くなる。生と死をなだらかに穏やかに伝える名エピソードだ。
1位 ミッフィー、提案する(「うさこちゃんとたれみみくん」)
ミッフィーたちのクラスに、転校生がやってくる。片耳が垂れているという理由で「たれみみくん」と呼ばれるようになる。嫌だけど、そう呼ばれるのは慣れてるから……と言う「たれみみくん」の言葉を受けてミッフィーが取った行動は……。
この回はミッフィーというキャラクターの本質が描かれていると思う。やさしく、聡く、勇気のある彼女が大好きだ。
いつも心にミッフィーを!
佐原ひかり(さはら・ひかり)
1992年、兵庫県生まれ。2017年「ままならないきみに」で第190回コバルト短編小説新人賞を受賞。19年「きみのゆくえに愛を手を」で第2回氷室冴子青春文学賞大賞を受賞、同作を改題、書き下ろしを加えた 『ブラザーズ・ブラジャー』でデビュー。他の著書に『ペーパー・リリイ』『人間みたいに生きている』『鳥と港』『スターゲイザー』『ネバーランドの向こう側』『リデルハウスの子どもたち』がある。
