『怪盗はショールームでお待ちかね』
青山・骨董通りの高級輸入家具店オーナー、洲崎圭二郎。表の顔は、店のショールームで顧客相手に北欧モダンのインテリアをスマートに提案する。しかしその裏ビジネスはセレブ所有の絵画、装飾品、秘匿データなどを盗み出したりすり替えたりすること。このショールームには、まっとうな富裕層と裏の依頼客と二種類が訪れるのだ。盗んだ利益の一部はクラウドファンディングを通じて寄付に回すのが洲崎の信条。なぜかゲイの相棒・宇田川漣を伴い、綿密な作戦のもとハイテクを駆使し、血を流さず鮮やかに奪い取る。オフィスに戻ると、洲崎の裏の顔を知らない天然系美人秘書・垣ノ内美桜が迎えてくれる。だがこの美桜、元CAでありながら武術の達人でもあった。サスペンス&コン・ゲームの連作短編集。
『薔薇忌』
著者の独創性を世に知らしめた柴田錬三郎賞受賞作。降りしきる薔薇の花びらに埋もれて死ぬことを夢見た劇団員(「薔薇忌」)、濃密な淫夢に日常を侵される歌舞伎小道具屋の娘(「紅地獄」)、元スター歌手の再起に賭ける芸能プロデューサー(「化鳥」)……舞台芸能に生きる男女が織りなす世界を、幻想的な筆致で描いた珠玉の短編集。
『酒の友 めしの友』
大人気コミック「深夜食堂」の作者が綴ったしみじみ読ませる、酔わせる漫画+雑文集。「マイ・フレンド 酒の友 めしの友」編では故郷・高知県四万十市の食文化や自らの思い出を綴る。「○○の女」(マルマルのひと)編では新宿、高円寺、砂町、江古田、恵比寿、池之橋…それぞれの街でたくましく生きてきた市井の女性たちの人生を描く。
『花嫁は夜汽車に消える』
花嫁とともに消えた三十年前の真実とは――?モノクロ映像の中で、列車をバックに恥じらう花嫁。ドキュメンタリー番組〈花嫁の歴史〉のプロデューサーから彼女を捜すよう命じられたスタッフの片丘と今日子だが、花嫁の顔になぜか見覚えが……。一方、女子大生・亜由美は孤独死した老女が遺した日記帳を受け取る。そこには、ある受刑者の無実を示す証拠があった――。表題作のほかに「花嫁は天使のごとく」を収録。
『崖っぷちの花嫁』
平和なはずの遊園地が一変!なんとジェットコースターのレールの上で女性が自殺しようとしたのだ。木村みずえと名乗るその女性を女子大生・塚川亜由美は命からがら助けたが、なぜ彼女は自殺を図ったのか?捜査を進める亜由美の前に、新たな死体が……。表題作のほかに「花嫁は今日も舞う」を収録。
『花嫁たちの深夜会議』
深夜の街をさまよっていた植草治夫は、オフィスビルに次々と女が入っていくのを目撃する。誘われるようにビルに入った植草は、彼女たちの会議の驚くべき内容を知る……。一方、女子大生・塚川亜由美は夜道で酔っ払いを撃退。しかしその直後、男は逃げていった先で喉をかき切られて死んでしまう。表題作のほかに「花嫁は荒野に眠る」を収録。
『許されざる花嫁』
女子大生・塚川亜由美はホテルのラウンジで緑川祐一郎という中年男性に、「僕を見張っていてくれ」と頼まれる。「花嫁を殺してしまうかもしれない」と言うのだ。今日の挙式の花嫁は彼の元妻・みゆき。ある日彼女は手紙だけを残し、子供二人を連れて浮気相手のもとに去ったらしいのだが……。表題作ほか「花嫁リポーター街を行く」を収録。
『花嫁は墓地に住む』
女子大生・塚川亜由美と親友の神田聡子は、温泉宿で聡子の親戚・須田朱美と遭遇。朱美は、不倫相手の河本昭男と旅館で落ち合う予定だった。しかし、そこへ朱美の母や河本の妻までやって来て一波乱!表題作のほかに「花嫁は名剣士」を収録した、大人気花嫁シリーズ。
『売り出された花嫁』
友人と入ったパーラーで「愛人契約」の現場を目撃した水畑貴士。女に契約を持ちかけていたのは、中学生時代に世話になっていた家庭教師・落合だった。突如放たれた銃弾から、咄嗟に恩師をかばった水畑は――。一方、落合の紹介で老人と契約を結んだ双葉あゆみは奇妙な「愛人生活」に困惑。老人の企みとは?表題作ほか「泣きぬれた花嫁」収録。
『ヒート』
日本男子マラソンの低迷に歯止めをかけるため新設された「東海道マラソン」。県庁職員の音無太志は、日本陸上界の至宝・山城悟のペースメーカーとして、甲本剛に白羽の矢を立てる。ペースメーカーになることを渋る甲本に、音無は破格の条件を提示するが――。箱根駅伝を走る学連選抜チームの激走を描いたベストセラー『チーム』の“その先”の物語。