「深淵の色は 佐川幸義伝」
大東流合気柔術、中興の祖と呼ばれる武術家・佐川幸義。私は、佐川道場に入門し、その後佐川先生の評伝『孤塁の名人』を上梓した。しかし、その時も先生の本質を十分に理解していたわけではなかった。数年ぶりに先生の弟子・木村氏からの連絡に奇縁を感じた私は、先生の謎のような生涯をふたたび探り、合気の神髄を探る作業を試みることにした…
「ふたたび嗤う淑女」
あの悪女が還って来た――!?国会議員の資金集めの隠れ蓑として立ち上げられたNPO法人の事務局長、不穏な社会情勢を背景に信者を集め、その財産を狙う宗教法人の副館長……金に操られる人々が引き合わされる投資アドバイザー・野々宮恭子の正体とは。
「商い同心事件帖」
物の値段を見張り、店に指導する役目の諸色調掛同心・澤本神人は、亡き妹の忘れ形見である多代を男手ひとつで育てている。江戸の町では、値段の裏にある人情や思惑がからみあい、神人を悩ませる謎と悪事が待ち受ける。算盤が得意な子分の庄太とともに町を見回っていると、今日も大騒動が……。