8月の文庫新刊『淫ら上司 スポーツクラブは汗まみれ』によせて
運動音痴の憧 睦月影郎
運動音痴という言葉を最初に目にしたのは小学生時代、少年マガジン連載「巨人の星」で、伴宙太がマンガ家志望の牧場春彦に言ったときだったと記憶している。これは多分に、運動できる奴が、できない奴を揶揄する言葉である。
私も、運動音痴だ。
だからスポーツをするのも見るのも大嫌いで、私はオリンピックもサッカーも見たことがない。
しかしスポーツは嫌いだが、スポーツをする女性は好きである。
もちろんスポーツをしない女性も好きだから、要するに女性なら何でも好きなのだが、今回は、スポーツウーマンに焦点を当ててみた。
主人公も、私のような運動音痴の青年であるが、就職して会社に入ったものの、デスクワークではなく、スポーツジムに配属されてしまったのだ。
しかし最初の不安も、間もなく一掃され、その職場はパラダイスとなる。
なぜなら、他に男のスタッフがおらず、颯爽たる美人上司がいて、のちに可憐な後輩も入ってくるのだ。
しかも通ってくる会員の大部分が主婦。
ダイエットを兼ねて入会したものも多いが、ほとんどが美人妻である。
そして無垢だった主人公は、美女たちに順々に誘惑されて手ほどきを受け、成長していくのだ。
そんなに良いところなら、私だって就職したい。
私もかつて、ほんの短い期間だったがスポーツジムに通っていたことがあった。
フィットネスバイクを漕いだりマシンを使って各筋肉を鍛えるのは、退屈で疲れて、二度とやりたくないが、それでも気ままに泳ぐのはリラックスできた。
そこは会員が少なく、プールもほとんど私一人だったから良かったのだ。
だが暇すぎて、間もなく潰れてしまい、以後十年以上泳いでいない。
そのときの記憶を頼りに、ジムの内部やバスルームなどはこうだった、とか思い出しながら書いた。
最も力を入れた描写は、せっかくのスポーツジムなのだから、多くの美女たちの汗の匂いである。
バスルームはあるが、せっかく汗をかいてナマの体臭が濃くなったのだから、洗い流すような愚かなことはしない。
何とかかんとか理由を付け、バスルームは後回しにして、ナマの匂いのままいたすことに専念した。
主婦たちも、彼に愛情など感じておらず、あくまでも快楽の道具として扱い、友人に譲ったりし、だからこそ大胆なプレイも数々できるのだった。
もちろん3Pもあるし、颯爽たる長身の美人上司とも快楽の数々を繰り広げる。
しかも神聖な職場には、様々な運動器具があり、それらもエッチに利用できるものが多いのだ。
バスルームもサウナもあるし、プールでの水中プレイもでき、まさにスポーツジムは何でも使えるセックスのテーマパークのようなものである。
そして年上の女性たちに開発された主人公は、すっかりテクニックにも長け、いよいよ無垢で可憐な後輩にも欲望を向けてゆくのだった。
そう、やはり上達したら、その力を試す相手も欲しくなるものだ。
こんなジムがあれば私も入会し、苦手な運動も我慢しようと思いつつ、楽しんで書いたのである。