なにもない一日
根室から釧路に移り住み、水産業を営む金平家に嫁いで二十年。夫の昭彦が道楽で維持するFM局で、やや子は、自らパーソナリティーを務める番組を持っている……
名作『星々たち』最終話の感動をふたたび。名手が贈る珠玉短編。
連載時代小説 奇のくに風土記
紀州藩士の息子・十兵衛は、幼いころからうまく人と言葉を交わすことができず、いつもひとりで過ごしていた。塾で本草学を学ぶうち、いつしか師の小原桃洞のように草木に親しみながら一生を送りたいと願うようになった。ある日、その思いが嵩じて、ひとりお山を目指すこととしたが、そこでは思いもよらぬ出会いが待っていた……。