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私の○○ベスト3
Vol.61 夏木志朋 好きな女性キャラクター ベスト3


1位 『ホーム・アローン2』の鳩おばさん

2位 『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』の真壁栞

3位 『タイタニック』の成金夫人



なぜ女性キャラに限定したのか。フィクション作品における好きな登場人物の数が膨大なため、大別した。性別で部門分けするのはナンセンスかもしれないし、突き詰めれば上記のキャラ達が果たして本当に女性であるかも不確かだ。生物学上の特徴が私から見てそう見えるというだけの話である。
加えて、この番付は常に推移する。あくまでも今日の私の心に浮かんだ順であることを踏まえて、読んでいただけると幸いです。


第3位 『タイタニック』の成金夫人

映画『タイタニック』に登場する中年女性である。舞台となるタイタニック号の乗船客の一人で、一等客室に宿泊している金持ちだ。しかし彼女は他の一等客室の乗客からは内心で排斥されている。彼らのほとんどが由緒正しい上流階級であるのに対して、彼女はいわゆる「成り上がり」の金持ちだからだ。
作品を未見の人のために詳しくは書かないが、『タイタニック』を観てこのキャラクターを好きにならない人間などいるのだろうか、と感じる。そして、有名な作品なので未見の人がどれほどいるかも不明だが、私はこのあいだ初めて観た。


第2位 『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』の真壁栞

ホラー作品である当該ドラマの「トイレの花子さん編」に出てくる霊能力者だ。
初めは終始うすら笑いを浮かべていて、素直に見れば「インチキ霊能者」、ホラー(特にこの監督の作品)に出てくる霊能力者の定型として見れば「インチキと見せかけて中盤で好感度を爆上げしてくるキャラ」に思える。案の定、物語が進むに従って好感度が上昇するのだが、「案の定」などと言ってしまうには格好良すぎた。
ひとことで言うなら三蔵法師系の女である。
彼女と出会ったことにより私は一時期、この世でもっとも美しい名前は「真壁栞」だと感じ、デビューの際、筆名の苗字を「真壁」にしようと考えていた。色々あってやめたが、真壁栞という名は本当に美しいと今でも心の底から思っている。


第1位 『ホーム・アローン2』の鳩おばさん

1に出てくる隣家のおじいさんと双璧をなす好きなキャラクターだ。私はどうも「大人と子供(老人と若者)」&「あいつはきっと殺人鬼」という構図が好きなようだ。
鳩おばさんとマコーレー・カルキンのシーンはいつ観ても泣いてしまう。大人になって初めて再視聴した時、泣きすぎて吐いた。それほど感受性を揺さぶられてしまうので、みだりに見返せないのだが、基本的にクリスマスは毎年一人でこの映画を観ることにしている(去年だけは例外的に『八甲田山』を観ていたが)。仮に人生で体のどこかにタトゥーを入れる機会があったならば、映画のラストシーンでカルキン少年が鳩おばさんに渡した「アレ」を私は彫るだろう。


夏木志朋(なつき・しほ)
1989年、大阪府生まれ。大阪市立第二工芸高校卒。2016年から大阪文学学校に通い始め、19年に『ニキ』で第9回ポプラ社小説新人賞受賞。22年9月、同作を『二木先生』にタイトル変更し文庫化。