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私の○○ベスト3
Vol.62 森バジル 僕の好きなM-1決勝ネタ ベスト3


第1位 2008年 オードリー1本目「引っ越し」

第2位 2019年 かまいたち1本目「UFJ」

第3位 2006年 チュートリアル1本目「冷蔵庫を買った」



どうも、森バジルです。名前だけでも覚えて帰ってください。

第3位:2006年 チュートリアル1本目「冷蔵庫を買った」

冷蔵庫を買ったという福田さんをひたすら異様なテンションで囃し立てる徳井さん、という構図のネタ。
お笑いでも小説でも、フローというかフレーバーというか、そのコンビなり作品なりが持っている“雰囲気そのもの”を好きにさせることができたらエンタメとして大勝利だと思っていて、その点このネタの徳井さんは本当に「何を言っても面白い」という空気感を作り出していて最強です。表情やマイムだけでなく、「内々に事を運んだな!」「山が動いたな」みたいな細部の言葉選びにも、徳井さんのフレーバーが宿り輝いています。


第2位:2019年 かまいたち1本目「UFJ」

自分の言い間違いを相手になすりつける山内さんの異質さと、その山内さんに対して観客と同じ目線で反論し、恐れ、戸惑う濱家さんのコントラストが強力なネタ。コントに入らない“しゃべくり漫才”の魅力が詰まったネタ、これ以上ないくらいに笑いました。山内さんのセリフがすべてボケとしてでなく本気で言っていそうに見えるのが本当に面白いです。
M-1の中でも、大会として一番好きなのが2019年です。かまいたちのこのネタが2番手という早いタイミングで披露されることになったことで、結果としてミルクボーイ「コーンフレーク」の歴代最高得点につながったのだと思ってます。


第1位:2008年 オードリー1本目「引っ越し」

引っ越しをしたい若林さんに対して、春日さんがツッコミという形でボケる、「ズレ漫才」。僕にとって、高校生のときに見てから31歳になる今までずっといちばん好きな漫才です。“春日”というキャラをまとった春日さんのズレたツッコミに対して若林さんがツッコみ返したりスルーしてスカしたりしてどっかんどっかんウケまくる姿に、笑いながら惚れ惚れとしました。Amazon Prime Video版では一部のくだりがカットされているのが残念です。カットが目についてしまうレベルでネタの流れを覚えてしまえるくらい、鮮烈なネタでした。

ハイタッチのくだりなど、絶対2人の動きの画を見せてほしい箇所でカメラが上戸彩さんを抜いていたり(敗者復活ゆえにリハーサルをしていないからでしょうね)、春日さんが噛んでしまったあとすかさずアドリブで1ターンのやりとりを挟んだ後台本に戻す若林さんの力量だったり、生放送の大会ならではのライブ感も含めて伝説的な4分間として深く脳裏に刻まれています。


他にも2022年カベポスター「大声大会」、2022年ロングコートダディ1本目「マラソン」、2021年ロングコートダディ「生まれ変わり」、2021年オズワルド1本目「友達」、2020年オズワルド「ヒキニキ」、2019年ミルクボーイ1本目「コーンフレーク」、2019年からし蓮根「免許講習」、2017年とろサーモン1本目「旅館」、2016年さらば青春の光「能」、2009年笑い飯1本目「鳥人」、2007年トータルテンボス2本目「旅行会社」、2005年ブラックマヨネーズ1本目「ボウリング」、2005年笑い飯2本目「ハッピーバースデイトゥーユー」、2004年南海キャンディーズ1本目「医者になりたい」などが特に好きです。
ちなみに、M-1以外の漫才で一番笑ったのは2022年の第43回ABCお笑いグランプリでゲスト漫才として披露されたコウテイ「モテたい」です。

どうもありがとうございました。


※ネタのタイトルは僕が便宜上勝手につけているだけで正式なものではないです。



森バジル(もり・ばじる)
1992年宮崎県生まれ。九州大学卒業。会社勤務の傍ら執筆活動を続け、2018年、第23回スニーカー大賞“秋”の優秀賞に選ばれ、文庫『1/2―デュアル―死にすら値しない紅』を刊行。2023年、『ノウイットオール あなただけが知っている』(「ノウイットオール」より改題)で、第30回松本清張賞を受賞し、単行本デビュー。